こうした症状はありませんか?
下記の症状がある場合には、消化器疾患の可能性がありますので、ご相談ください。
- 食欲のない期間が2週間以上続いている
- 食欲がなく、痩せてきた
- あっさりしたものしか食べられない
- 食べても美味しくない、味がしない
- 面倒で食事を抜いてしまうことがある
- 気付くと食事時間を大幅に過ぎていることがある
- みぞおちや腹部の痛み、胸やけ、悪心などで食べる気にならない
など
食欲不振について
食事をしっかりとはとっていないのに、食べたくならない、食事内容が偏ってしまう、食事するのを忘れてしまうなど、食欲が湧かず「食べたい」という気持ちにならない状態です。
夏バテや風邪などで食欲がなくなることは一般的にもよくありますが、思い当たる原因がなく食欲が湧かない状態が続く場合や、食欲不振に加えてみぞおちや腹部の痛み・吐き気・悪心・胸やけなどを伴う場合には、消化器疾患の可能性があります。
食欲不振は、様々な原因で起こります。主な原因となるのは、消化器疾患をはじめとした疾患、過労やストレス、薬の副作用などです。
食事をしっかりとることは生命維持や健康を保つために不可欠です。「食べなくても大丈夫」と過信せず、2週間以上食欲不振が続く場合にはご相談ください。
食欲不振の主な原因
食欲不振の主な原因には、消化器疾患、風邪などの疾患、甲状腺など内分泌異常、ストレスや疲れ、生活習慣などがあります。女性では更年期障害など女性ホルモンによる影響もあることがあります。
消化器疾患やそれ以外の内科疾患
上部消化管(食道・胃・十二指腸)、下部消化管(小腸・大腸)、肝臓・膵臓などの消化器の幅広い疾患や病気の症状として食欲不振が起こることがあります。また、消化器への負担が増えることで食欲が低下することもよくありますが、がんをはじめとした疾患でも同様の症状を起こしますので、注意が必要です。
また消化器以外の疾患でも食欲不振を起こすことがあります。風邪やインフルエンザ、鼻炎や扁桃炎などでも食欲不振はよくある症状です。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンは、全身の機能や代謝の亢進や低下に大きく関与しており、消化管の機能もその影響を大きく受けます。甲状腺機能が低下すると、食欲不振をはじめ、便秘、全身倦怠感、無気力、冷えなど様々な症状が現れます。
ストレス
消化管の機能をコントロールしている自律神経はストレスの影響を大きく受けてバランスを失うことがあり、それによって食欲不振の症状を現すことがあります。深い悲しみや強い怒りなど感情の激しい揺れ、プレッシャー、人間関係の問題、家庭のトラブル、疲労や睡眠不足など、様々なストレスが食欲不振の原因になる場合があります。
生活習慣の乱れ
就寝や起床、食事などの時間が決まっていない、運動不足が続いている、過度の飲酒や喫煙などの生活習慣が原因となって食欲不振を起こすこともあります。
食欲不振で考えられる疾患
食欲不振の原因疾患は多岐に渡りますが、代表的な疾患には下記のものがあります。
胃がん
早期胃がんは症状はほとんどありませんが、胃がんが進行すると、胃そのものの不調から上腹部痛や食欲不振、吐き気が出現し食欲が減ることが多いと言われています。がん細胞は、血管内皮増殖因子(VEGF)というサイトカインを放出して周囲に血管を集め、大量の酸素と栄養素を取り込むことで活発に増殖します。サイトカインは情報伝達物質であり、身体の様々な機能に影響を及ぼし、それによって食欲不振が生じることがあります。病気が進行するにつれてサイトカインが増加し、その影響で胃の機能が低下します。
慢性胃炎(萎縮性胃炎)
胃粘膜がピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が産生するアンモニアなどの毒素や胃の機能低下などにより、胃粘膜に慢性的な炎症が起こります。慢性胃炎は食欲不振などの症状を起こすことがあり、長期化すると胃がん発症のリスクが高い萎縮性胃炎になる可能性があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンは、身体の機能や代謝などの亢進や低下に関与しています。甲状腺ホルモンの分泌が低下すると全身の機能も抑制されて、食欲不振、全身倦怠感、無気力などの様々な症状を起こします。
機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群
炎症や潰瘍などの器質的問題がないのにも関わらず、胃痛や胃もたれ、早期膨満感(すぐにお腹がいっぱいになる状態)、げっぷ、下痢などの便通障害といった消化器症状が起こっている状態です。以前はストレスなどによって発症する「神経性胃炎」だと考えられていましたが、現在では蠕動運動の変化や胃酸過多、知覚過敏などによって発症していると判明されています。
食欲不振の診断
問診
食欲不振の症状が現れた時期と経過、食欲不振の内容、それ以外の症状、基礎疾患や服用している薬、生活習慣、普段の食事内容、飲酒や喫煙、便通の状態、ストレスなどについて、問診で詳しく伺います。
問診の内容から、適切な検査を行って原因疾患を確かめます。
検査方法
食欲不振の原因として疾患が疑われる場合には、血液検査、腹部超音波(エコー)検査、胃カメラ検査、CT検査などを行って原因を確かめます。また、大腸に原因があると疑われる場合には大腸カメラ検査を行うこともあります。
血液検査では、炎症や感染の有無と状態、臓器などの状態、甲状腺機能などの確認が可能です。
腹部超音波(エコー)検査では、肝臓、膵臓、胆のうなどの状態を確認できます。肝臓、膵臓、胆のうは胃カメラ検査では確認できず、腹部超音波(エコー)検査による観察が必要になります。
胃カメラ検査では、食道・胃・十二指腸という上部消化管全体の粘膜を直接、詳細に観察できます。微細な病変の発見も可能であり、疑わしい病変組織を採取できますので、病理検査による確定診断も可能になります。
当院では麻酔(鎮静剤)を使用して、内視鏡検査・治療の研鑽を積んだ医師が、その高度な知識や技術を十分に生かせる最新鋭の内視鏡システムを使った胃カメラ検査を行っています。患者さまができるだけ楽に検査を受けて頂けるよう、きめ細かく配慮した検査を行っていますので、苦手意識のある方も安心してご相談ください。
食欲不振の治療
検査により原因疾患が明らかになった場合には、状態に合わせた適切な治療を行います。
炎症など病変がなく食欲不振が続いている場合には、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群が疑われます。機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群は、胃腸の機能的な障害や知覚過敏などによって食欲不振をはじめとした様々な症状を起こす疾患です。
また、疾患ではなく、疲労やストレス、生活習慣などが原因になって食欲不振を起こしているケースもあります。疾患以外の原因によって食欲不振が起こっている場合も、症状や状態に合わせて胃の機能を整える薬、漢方薬などの処方により改善が期待できます。なお、消化器内科で処方できるお薬などでの治療のみでは改善が見込めない場合や、精神的な問題による影響が大きいと考えられる場合には心療内科の受診をご案内させていただくこともございます。