切れ痔(裂肛)
硬く太い便などを排便する際に肛門の歯状線より外側の肛門上皮が裂けたり切れたりしている状態です。皮膚部分ですので知覚神経があり、強い痛みを伴います。出血は少量のことが多く、早期であれば痛みは短時間で治まります。また、早期であれば軟膏などによる治療で治すことができます。
ただし、切れ痔は排便時の痛みが強いことから無意識に排便を我慢して便秘になり、便秘でさらに切れ痔を悪化させて痛みが長時間続くようになり、それによって便秘が慢性化して切れ痔もますます悪化するという負のスパイラルを起こしやすい疾患です。便秘があると再発しやすいので、早めに受診して再発防止を視野に入れた治療をしっかり受けることが重要です。
切れ痔の進行と症状
1、初期 |
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2、中期 |
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3、慢性切れ痔(慢性裂肛) |
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4、さらに悪化する(慢性裂肛) |
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原因
切れ痔の主な原因は便秘による硬い便と強いいきみです。また、勢いの強い下痢で切れることもあります。体質的に肛門が狭いケースがまれにあり、そうした方は切れ痔を繰り返しやすいので便の水分量コントロールなどをしっかり行うことが重要になります。
切れ痔を起こす主な原因である便秘や硬い便は、ダイエット、偏食、食物繊維不足、運動不足などによって生じやすく、切れ痔は女性に多い疾患です。
便秘を解消するために、食物繊維のサプリメント、お茶、乳酸菌の入ったヨーグルト、薬や漢方薬などを便秘タイプに応じて取り入れることで、切れ痔の再発予防効果が期待できます。
治療法
保存的治療
お薬での治療と生活習慣の改善が基本です。傷が早く治るように注入軟膏や座薬と、下剤を使用し、便秘を解消して便を柔らかくすることで症状を改善します。切れ痔は全体の90%が保存的治療で改善できるとされています。
また、切れ痔は再発しやすいことから、症状が治まってからも継続して治療を受け、再発しないよう生活習慣を改善する必要があります。症状が治まったからと治療を自己判断で中止してしまい、再発を繰り返して重症化させないためにも、しっかり治すことが重要です。
手術法
当院では、切らない治療を主に行っており、手術療法が必要な場合は原則紹介となります。薬物療法を主に行っております。
頻度は多くはないですが、治療に抵抗する、慢性的な切れ痔(慢性裂肛)など、切れ痔を繰り返して悪化し、肛門の狭窄、瘢痕化や線維化が進行している場合には、肛門拡張術や皮膚皮弁移動術といった手術が必要になります。十分な保存的加療で改善を認めない場合、症状、所見と患者さまのご希望に応じ、適切な医療機関へご紹介させていただきます。