こんにちは🌼
立川駅前こばやし内科・胃と大腸内視鏡クリニックです🏥✨
今回は、「潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)」 について、できる限り分かりやすくお話しをしていきたいと思います☝🏻
潰瘍性大腸炎とは、厚生労働省の指定難病の一つであり、多くの患者さまが長い付き合いを余儀なくされます・・・
しかし、適切な治療と生活習慣の工夫によって、症状を上手くコントロールしながら普通の生活を送ることは十分可能です! 🌸
今回のブログでは、潰瘍性大腸炎の原因や症状、診断方法、治療法、日常生活での注意点などを詳しく解説をしていきたいと思います💡
■潰瘍性大腸炎とはどんな病気?
まず、潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。
炎症が進行すると、腸の内側にびらん(ただれ)や潰瘍(深い傷)ができ、それによってさまざまな症状が引き起こされます🌀
潰瘍性大腸炎の特徴は、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すこと(寛解と再燃) です。
症状がほとんどない「寛解期」と、炎症が活発になり症状が強く出る「再燃期」を繰り返します。
■主な症状
潰瘍性大腸炎の典型的な症状には、以下のようなものがあります。
☑ 血便(けつべん)
腸の粘膜にびらんや潰瘍ができるため、便に血が混じります。
☑ 下痢
炎症が続くことで腸の動きが活発になり、水分を十分に吸収できずに下痢が起こります。
☑ 腹痛
特に左下腹部の痛みが多いですが、炎症の範囲によってはお腹全体が痛むこともあります。
☑ 体重減少
栄養がうまく吸収できなくなり、食事量も減るため体重が減ることがあります。
☑ 発熱・倦怠感
炎症が強いと、微熱や強い疲労感を感じることもあります。
潰瘍性大腸炎は、症状の程度や頻度は人それぞれですが、日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません💧
■潰瘍性大腸炎の原因とは?
潰瘍性大腸炎の正確な原因は、まだ完全には解明されていません。
しかし、いくつかの要因が関連していると考えられています☝🏻
①免疫の異常
通常、私たちの免疫はウイルスや細菌などの外敵を攻撃し、体を守る働きをしています。 しかし、潰瘍性大腸炎の患者さまでは、誤ってご自身の腸の粘膜を攻撃してしまうという異常な免疫反応が起こっています。これにより、腸に慢性的な炎症が生じます。
②遺伝的要因
家族内に潰瘍性大腸炎の患者さまがいる場合、発症が起こりやすいことが分かっています。
遺伝が関与している可能性はありますが、必ずしも親から子へ直接遺伝するわけではありませんのでご安心ください。
③腸内細菌のバランス
腸内には無数の細菌(腸内フローラ)が存在し、私たちの健康を大きく支えてくれています。
しかし、潰瘍性大腸炎の患者さまでは腸内細菌のバランスが崩れていることが示唆されています。
④環境因子(食事・ストレスなど)
高脂肪食や加工食品の多い食生活、過度なストレス、睡眠不足などが、病気の発症や悪化に関係している可能性があります。
ただし、これらが直接の原因になるわけではなく、あくまで発症リスクを高める要因と考えられています。
■潰瘍性大腸炎の診断方法
潰瘍性大腸炎の診断には、大腸カメラ検査を実施いたします。
・大腸カメラ検査
炎症の範囲や重症度を確認するために行います。腸の粘膜にびらんや潰瘍が見られた場合、潰瘍性大腸炎が疑われます。
・組織検査(生検)
大腸カメラ検査時に腸の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
・血液検査
炎症の程度を把握するために行います。潰瘍性大腸炎が疑われる方は、貧血や炎症マーカー(CRP)の上昇が見られることがあります。
・便検査
便に含まれる白血球の量を測定し、炎症の有無を確認します。
■潰瘍性大腸炎の治療方法
①薬物療法(基本の治療)
💊 5-ASA製剤(アミノサリチル酸製剤):炎症を抑える基本的なお薬
💊 ステロイド:症状が強いときに使用するが、長期間の使用は避ける
💊 免疫調整剤:免疫の異常な働きを抑える
💊 生物学的製剤:最新の治療薬で、炎症を引き起こす物質をブロックする
②食事療法(再燃期・寛解期の食事と具体的なレシピ)
潰瘍性大腸炎の食事療法は、「症状が悪化しやすい食べ物を避けつつ、栄養をしっかりと摂ること」がポイントです☝🏻
特に、再燃期(症状が強く出ている時期)には、腸に優しいお食事を意識しましょう🍴
■再燃期(症状が強い時期)の食事ポイント
この時期は腸が炎症を起こしているため、消化の良いものを少量ずつ食べることが重要です!
❌ 避けたほうがよい食べ物
☑ 刺激の強い食べ物(腸を刺激し、炎症を悪化させる可能性があります)
・香辛料(唐辛子、わさび、カレー、胡椒など)
・揚げ物(天ぷら、フライドチキン、唐揚げなど)
・アルコール(ビール、ワイン、日本酒、焼酎など)
☑ 硬い食べ物・生野菜(腸への負担が大きいとされています)
・ごぼう、れんこん、セロリ、キャベツ、ほうれん草などの食物繊維が多い生野菜
・ナッツ類(アーモンド、ピーナッツ、くるみなど)
☑ 乳製品(人によっては症状が悪化することがあります)
・牛乳、チーズ、ヨーグルトなど(少量ならOKな場合もあります)
☑ 油分の多い食品(消化に時間がかかるとされています)
・ベーコン、サラミ、バター、マーガリン、ラーメン(スープが脂っこいもの)
⭕ おすすめの食べ物(腸にやさしい食材)
☑ 炭水化物(エネルギー源として重要な食べ物)
・白米、おかゆ、うどん、そうめん
・食パン(バターやジャムなし)、クラッカー
☑ たんぱく質(消化が良く、腸の修復を助ける食べ物)
・鶏ささみ、白身魚(タラ、ヒラメ、スズキなど)、豆腐、卵(半熟や茶碗蒸しがおすすめ)
☑ 野菜(やわらかく煮たもの)
・にんじん、じゃがいも、大根、かぼちゃ、かぶ
☑ スープやおかず
・具なしの味噌汁(出汁のみ)
・すりおろしたり、裏ごししたスープ(かぼちゃスープ、にんじんポタージュ)
■おすすめのお食事レシピを3つご紹介!(再燃期向け)🥢
① ほうじ茶粥(胃腸に優しく、水分補給もできるレシピ)
【材料】(1人分)
・ご飯 … 100g(お茶碗半分)
・ほうじ茶 … 200ml
・塩 … 少々
【作り方】
❶鍋にご飯とほうじ茶を入れ、中火で温める。
❷沸騰したら弱火にし、5分ほど煮る。
❸塩を少し加え、軽く混ぜたら完成!
💡ポイント:ほうじ茶の香ばしさで食べやすく、消化にも良いレシピです!
② 白身魚と大根のやわらか煮
【材料】(1人分)
・白身魚(タラ、ヒラメなど) … 1切れ
・大根 … 3cm分(皮をむいて薄切り)
・だし汁 … 200ml(昆布だしがベスト)
・醤油 … 小さじ1
・みりん … 小さじ1
・砂糖 … 小さじ1/2
【作り方】
❶鍋にだし汁を入れ、大根を加えて火にかける。
❷大根がやわらかくなったら白身魚を入れ、弱火で5分煮る。
❸醤油、みりん、砂糖を加え、さらに3分煮る。
💡ポイント:魚は一度湯通しすると臭みが取れて食べやすくなります!
③鶏ささみとじゃがいものポタージュ
【材料】(1人分)
・鶏ささみ … 1本
・じゃがいも … 1個(皮をむいて薄切り)
・水 … 200ml
・牛乳(低脂肪) … 100ml(苦手なら豆乳でもOK)
・塩 … 少々
【作り方】
❶鍋に水とじゃがいも、鶏ささみを入れて火にかける。
❷じゃがいもがやわらかくなったら、鶏ささみを取り出し、ほぐす。
❸鍋の中身をミキサーにかけ、なめらかにする。
❹鍋に戻し、牛乳を加えて温め、塩で味を調える。
💡ポイント:じゃがいもでとろみがつき、とても食べやすいスープになります!
再燃期には 消化の良いものを中心にし、腸に負担をかけないことを意識しましょう🍀
寛解期には バランスよく栄養を摂ることで、体調を安定させることができます!
ご自身の体と相談しながら、美味しく食べられる工夫をしていきましょう!
■寛解期(症状が落ち着いている時期)の食事ポイント
寛解期は、潰瘍性大腸炎の症状が落ち着いている時期です。
この期間は栄養バランスの取れたお食事を心掛け、再燃を防ぐことが最優先になります!
ただし、症状が落ち着いていても腸の粘膜は完全に健康な状態ではないことが多いため、過剰な食物繊維や脂質、刺激の強い食品の摂取には注意が必要です! ご自身の体調を見ながら、少しずつお食事のバリエーションを広げていきましょう✨
下記にお食事のポイントをまとめましたのでご覧ください!
☑ 少しずつ食物繊維を増やす(腸の調子を見ながら)
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
・水溶性食物繊維(腸を優しく整える)
→ おすすめの食品:大麦、もち麦、オクラ、山芋、かぼちゃ、アボカド、海藻類(わかめ、昆布)
・不溶性食物繊維(腸のぜん動運動を活発にしてくれますが、摂りすぎには注意!)
→ おすすめの食品:にんじん、かぶ、ブロッコリー(少量から)、りんご(皮をむいて)
💡 ポイント
・最初は水溶性食物繊維中心で、不溶性食物繊維は少しずつ増やすようにする
・繊維が多い野菜(ごぼう、れんこん、セロリ)は様子を見ながら摂取する
・野菜は生よりも、蒸す・煮る・炒めるなどの調理でやわらかくすると負担が少ない
☑ 発酵食品を取り入れる(腸内環境を整える)
腸内環境を整えることは、潰瘍性大腸炎の再燃予防にとても重要です。
おすすめの発酵食品
・納豆(整腸作用がありますが、人によっては合わないこともあるので少量からがおすすめ)
・味噌(減塩のものがおすすめ)
・ヨーグルト(無糖)(乳製品が苦手な場合は、豆乳ヨーグルトや発酵食品を試してみるものおすすめ)
・漬物(ぬか漬け、キムチ)(キムチは辛味が強いので控えめに)
💡 ポイント
・食べ過ぎると腸の動きが活発になりすぎることがあるので、適量を意識する
・ヨーグルトは乳糖不耐症の人には合わない場合があるため、豆乳ヨーグルトで代用可能
・発酵食品は単体ではなく、バランスよく摂ることが大切
☑ 脂質の摂取を増やす(ただし過剰はNG)
脂質は腸の粘膜を修復する働きがあり、適量の摂取が推奨されます。
おすすめの脂質源
・青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ) → オメガ3脂肪酸が腸の炎症を抑える作用🐟
・オリーブオイル、亜麻仁油、えごま油 → 良質な脂質で炎症を抑える働き
・ナッツ(アーモンド、くるみ、カシューナッツ) → 食べ過ぎに注意しながら適量を摂取
・アボカド → 良質な脂質とビタミンEを含む🥑
💡 ポイント
・動物性脂肪(バター、ラード)は控えめにし、植物性の良質な脂質を選ぶ
・揚げ物は避け、蒸す・焼く・煮る調理法で脂質を摂取
☑ タンパク質をしっかり摂る(腸の修復を助ける)
潰瘍性大腸炎は、たんぱく質不足になると腸の粘膜の回復が遅れるため、意識をして摂取することが大切です。
おすすめのタンパク質源
・鶏むね肉・ささみ → 脂質が少なく、消化が良い
・白身魚(タラ、ヒラメ、スズキ)→ 低脂肪で消化しやすい🐟
・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)→ 植物性タンパク質もバランスよく摂取する
・卵 → 完全栄養食品で、消化しやすい)🥚
💡 ポイント
・赤身の肉(牛肉、豚肉)は少量ならOKだが、脂身は控える🥩
・たんぱく質を摂る際は、調理法も消化しやすいもの(蒸し料理・スープ)を選ぶ
寛解期は、栄養バランスを意識しながら少しずつ食事の幅を広げる大切な時期です!
お食事を楽しみながら、潰瘍性大腸炎とうまく付き合っていきましょう! 😊
■日常生活での注意点
🛌 ストレスをためない → 適度な運動や趣味でリフレッシュ!
😴 しっかり睡眠をとる → 免疫のバランスを整える!
🚽 便の変化に注意する → 血便や下痢が続く場合は早めに受診!
■まとめ
潰瘍性大腸炎は長く付き合う病気ですが、しっかりと適切な治療を行えば普通の生活を送ることは十分可能です。 病気とうまく向き合いながら、自分らしい生活を大切にしていきましょう✨
当院では潰瘍性大腸炎の診断から内服治療まで対応しております。
潰瘍性大腸炎診断に必要な大腸カメラにつきましては、全例内視鏡専門医が担当し、麻酔(鎮静剤)を使用しながら、「痛くない・辛くない・恥ずかしくない」内視鏡検査を提供できるよう、日々努めております。
血便や1週間以上続く下痢・腹痛症状がございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
潰瘍性大腸炎とは❓どのような症状が出るの❓😖
2025.06.04