ブログ

「家族ががんにかかったら、自分もがんになりやすい?」〜遺伝と生活習慣から考えるがんのリスク〜


こんにちは☀️
立川駅前こばやし内科・胃と大腸内視鏡クリニックです🏥✨

近年、「がん」は私たちの暮らしの中でとても身近な病気となってきています。
日本人のおよそ2人に1人が、一生のうちに一度はがんと診断されると言われており、決して特別な病気ではなくなってきました。

実際、当院にも多くの方ががん検診や内視鏡検査のためにご来院されますが、患者さんからよくいただくご相談の中に、次のようなものがあります。

「父が大腸がんだったんですが、私も大腸がんになりやすいのでしょうか?」
「母が胃がんになりました。私自身まだ症状はないのですが、やはり検査を受けた方がよいのでしょうか?」
「叔父が若くして膵臓がんに…。自分も気をつけなければならないのでしょうか?」

こうしたご相談は、どれもご家族ががんにかかったという経験を経て、「自分にも同じようなリスクがあるのではないか」と感じ、不安を抱いておられる方からのものです。ご自身は元気で過ごしていても、大切なご家族が病気になったことで、急に「自分自身の健康」や「今後の生活」が心配になる…そのお気持ちはとてもよく分かります…

「家族ががんになったということは、自分もいずれなるのではないか…?」
「遺伝って、どこまで関係してくるのだろう?」
「今のうちに検査を受けた方がいいのかな?」

こうしたお悩みやご不安を抱えていらっしゃる方が、実際にとても多くいらっしゃいます。
「がん」という病気は、決して他人事ではありません⚠️
だからこそ、正しい知識を持って向き合うことが非常に大切です👆そして、必要以上に不安にならず、でも油断せず、「予防」や「早期発見」の意識をもつことが、自分自身やご家族の健康を守る第一歩になります👣

今回のブログでは、皆さまからよくいただくご質問の中でも特に多い「がんは遺伝するのか?」という疑問について、分かりやすくお話ししたいと思います👆また、どのような人が特に注意すべきか、そして「リスクがあった場合、どのように向き合っていけばよいのか」についてもお伝えをしていきます。

きっと、明日からの生活に役立つ「ヒント」「安心」が見つかるはずです🗝️

■ がんは“完全に”遺伝する病気ではありません!
まず最初にお伝えしたいのは、がんは“必ず遺伝する病気”ではないということです。がんの多くは、「長年の生活習慣」や「加齢」「環境要因(たばこ、食事、感染症など)」によって、体の中の細胞に変化(突然変異)が積み重なって起こる病気です。

そのため、がん患者さんの約90〜95%は“遺伝性ではない”とされています。
つまり、たとえご家族にがんの方がいても、自分が必ずがんになるわけではありません。

ただし、がんの種類や家族構成によっては、“家族性”の要素が疑われるケースもあります⚠️

■ 「家族性」と「遺伝性」の違いとは🧬
医学的には「家族性がん」と「遺伝性がん」は少し意味が異なります🖋️

用語

内容

特徴

家族性がん

家族に同じがんが多くみられるが、遺伝子の異常は特定されていない

生活習慣や環境の影響が関与していることが多い

遺伝性がん

特定の遺伝子に変異があり、がんの発症リスクが大幅に高くなる

世代を超えてがんが繰り返し起こる

例えば、「母・祖母・姉が乳がんを発症している」など、特定のがんが多くの家族にみられる場合、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」といった遺伝性疾患が疑われることがあります。また、大腸がんでは「家族性大腸腺腫症(FAP)」や「リンチ症候群」といった遺伝性疾患も知られています。

どんなときに「遺伝性のがん」が疑われるの?
前項でもお伝えした通り、多くのがんは生活習慣や年齢、環境によって起こるもので、必ずしも遺伝が関係しているわけではありません❌しかし一方で、ごく一部のがんは、「特定の遺伝子の変化(変異)」が受け継がれることによって起こる可能性があることがわかっています。これを「遺伝性腫瘍症候群」と呼びます。

では、どのような場合に「遺伝性のがん」を疑うべきなのでしょうか?
次のようなケースに当てはまる方は、注意深く経過を見ていくことが大切です⭕

✅ 40歳未満でがんにかかった家族がいる
がんは一般的に、年齢を重ねるほど発症のリスクが高まる病気です。しかし、まだ若い40歳未満の年齢でがんになった方がご家族にいる場合、体質的・遺伝的な要因が関与している可能性が出てきます。例えば、「父が35歳で大腸がんになった」「姉が30代で乳がんになった」といったケースでは、通常とは異なる背景があるかもしれません。

✅ 同じ種類のがんが、家族に複数人いる
たとえば、「父と祖父がどちらも大腸がんだった」「母と叔母が乳がんになっている」といったように、特定のがんが複数の家族に集中して発症している場合も、遺伝的な要因が疑われます。特に、血縁関係が近い親族(親・兄弟姉妹・子ども)に2人以上同じがんがある場合は、注意が必要です。このような傾向は、いわゆる“家族性がん”とも呼ばれますが、なかには“遺伝性がん”が隠れていることもあるため、適切な判断が必要になります。

✅ 特定のがんが組み合わさって家系にみられる
特定のがんがセットのように家族内に見られる場合、それは「遺伝性がん症候群」の特徴のひとつです。
たとえば…
・乳がんと卵巣がんの両方が親族にある場合 → 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)が疑われます
・大腸がんと子宮体がんが複数の家族にある場合 → リンチ症候群という遺伝性の大腸がんの可能性があります
このようながんの“組み合わせ”が、ご家族の中にある場合には、念のため専門医にご相談いただくことをおすすめいたします。

「自分にもがんがあるのでは?」と不安な方へ
これらの要素に当てはまるからといって、「必ず自分もがんになる」というわけでは決してありませんのでご安心ください。ただ、リスクが高くなる傾向があるため、早めに情報を知っておくことが、自分自身の健康を守ることにつながります✨たとえば、がんのリスクが高い方には、「何歳からどんな検査を定期的に受けたらよいか」といった目安があります。必要に応じた専門的な対応を受けることで、がんの予防や早期発見ができる可能性も高まります!

「ちょっと気になるな…」
「家族に若くしてがんになった人がいる」
「自分の体調もなんとなく不安…」

そんなときは、一人で悩まずに、まずは医師にお話しください🍀
不安を言葉にすることで、道が見えてくることもあります。

■ 家族にがんがいても、自分の努力でリスクは減らすことができます
たとえ家族にがんの方がいても、「自分の生活習慣を見直すこと」で、がんのリスクを大きく下げることができます。
ここでは、がん予防に役立つ生活習慣をいくつかご紹介いたします。

・禁煙
タバコは肺がんだけでなく、胃がん・食道がん・膵臓がん・膀胱がんなど、多くのがんと関連します。

・バランスの良い食事
野菜・果物・食物繊維をしっかりとり、加工肉や塩分の取りすぎを控えましょう🥦

・適度な運動
週に150分程度の有酸素運動(ウォーキングなど)を心掛けることで、がんだけでなく生活習慣病の予防にもつながります🚶🏻‍♀️‍

・適正体重の維持
肥満は大腸がん、乳がん(閉経後)、肝臓がんなどのリスク因子につながります。

・定期的な検診
がんは早期発見・早期治療が何よりも大切です!
特に胃カメラ検査・大腸カメラ検査などの内視鏡検査は、症状が出る前に発見できる強力な手段です。

■ 当院でできること 〜安心して受けられる内視鏡検査〜
「父が大腸がんだったので、自分もそろそろ検査を受けた方がいいのではないかと思って…」
「母が胃がんになったと聞いて、不安で検査を受けに来ました」
こうしたお声を、私たちは日々の診療の中でたくさん伺っております。

実際、最近では「家族にがんの人がいる」という理由で内視鏡検査を希望される方が、当院でも年々増加してきています。
ご家族の病気を“自分ごと”として捉え、自らの健康管理に役立てようとするその姿勢は、とても大切な一歩です👣

当院では、患者さんが安心して検査を受けられるよう、苦痛を最小限に抑えた胃カメラ検査・大腸カメラ検査を行っております。
鎮静剤を使用したリラックス下での検査にも対応しており、「思っていたより楽に終わった」「もっと早く受けておけばよかった」というご感想も多くいただいております😊

特にご家族に胃がんや大腸がんの既往がある方には、個別のリスクに応じて、
・何歳くらいから検査を始めるとよいか
・どのくらいの頻度で検査を受けるべきか
・体質や生活習慣に応じた予防のポイント

などを、医師が丁寧にお伝えさせていただきます。ご希望やご不安に寄り添いながら、「自分のペースで健康と向き合うお手伝い」をさせていただくことを当院では大切にしております🌱

■ 検査を検討されている方へ 〜保険適用についてのご案内〜
なお、「家族にがんの方がいる」という理由だけでは、保険診療が適用されない場合がございます。
検査を保険で受けられるかどうかは、医師による診察や症状の有無、リスク評価などによっても異なります。
そのため、事前にお電話にてお気軽にお問い合わせいただくことをおすすめいたします👌🏻
保険適用の可否や、自費での検査費用の目安なども、スタッフが丁寧にご案内いたします。
「今すぐ検査が必要かわからない」
「保険でできるか知りたい」など、どんな些細なことでも構いません。
お気軽にお電話お待ちしております☎️

■ 家族の病気を、未来への健康につなげましょう
家族ががんにかかったという経験は、不安や悲しみだけでなく、「自分の健康と向き合うきっかけ」にもなり得ます。大切なのは、「がんは完全に防げない病気だけれど、リスクは減らすことができる」という事実を知り、できることからコツコツと始めることです。

当院は、その一歩をそっと後押しする存在でありたいと思っております。
気になることがございましたら、ぜひお気軽にご受診ください🌷

TOPへ