定期的に便潜血検査を受けていますか?
陽性であった場合には、少なくとも2-5%にがんがあります。絶対に放置しないようにしましょう。
消化管からの出血が大量であれば、便が黒くなったり、鮮血が混ざることで肉眼でも異常が分かります。
しかし、胃がんや大腸がんのように、少しずつ出血する病気では、見た目だけでは気づけないケースも多くあります。
こうした肉眼では分からないわずかな出血を調べるために行うのが「便潜血検査」です。
この検査は、大腸がんを早期に発見するためのスクリーニングとして広く活用されています。
便潜血検査で陽性と判定された場合には、胃や十二指腸の潰瘍・がん、大腸がん、潰瘍性大腸炎などの病気が疑われます。そのため、放置せずに必ず精密検査、特に大腸カメラ検査を受ける必要があります。
初回の便潜血検査で陽性だった方は、二次検査に進むのが基本です。「2回のうち1回しか陽性が出ていないから大丈夫」と考える方も少なくありませんが、これは非常に危険な誤解です。
よくある誤った対応として、「もう一度検査して陰性なら安心」と思い込んでしまうケースが挙げられます。
しかし、日本消化器がん検診学会の『大腸がん検診マニュアル』にもある通り、陰性であってもがんの可能性が完全に否定されるわけではありません。
便潜血検査で一度でも陽性反応が出た場合には、大腸カメラ検査を受けましょう。
また、自分自身だけでなく、ご家族や身近な方が陽性と診断された場合にも、速やかに医療機関の受診を勧めることが大切です。
便潜血が陽性と判定された場合
便潜血検査で陽性となった場合、消化管からの出血が疑われます。以下の疾患を発症している可能性があります。
便潜血検査で「分かること」は“がんのリスク”
便潜血検査は、大腸がんの発見に役立つ「スクリーニング検査」です。陽性であった場合、原則大腸カメラ検査を受けることを前提にしている検査です
大腸がんが発症すると、腸の中で少しずつ出血することが多く、その血液が便に混じることで、検査で陽性反応が出る仕組みになっています。
この検査では、目に見えないほど微量な血液も、特殊な抗体によって検出することが可能です。
しかし、検査結果が陰性であっても「がんがない」とは限りません。あくまでも「リスクを評価するための検査」であると理解しておきましょう。
陽性でも「がん以外」が原因の場合もあります
例えば、大腸ポリープが挙げられます。大腸ポリープとは、大腸の粘膜が隆起してできるいぼ状の突起物で、腫瘍性と非腫瘍性に分類されます。
このうち腫瘍性ポリープの一部は、がんに進行する可能性があります。
ポリープが肛門付近にできると、出血を伴った便が出たり、粘液が便に付着することがあります。
稀に、大きなポリープが肛門近くで腸の通り道を塞ぎ「腸閉塞」を引き起こしたり、ポリープ自体が肛門から飛び出すこともあります。
ポリープが見つかった場合は、内視鏡で切除するかどうかを医師が判断します。
女性にとって注意すべき「大腸がん」
乳がんや子宮がんに意識が向きがちな女性のがんですが、実は大腸がんは、女性のがんによる死亡原因の中で最も多い病気です。
「女性特有のがん」に限らず、命に関わるリスクとして大腸がんにも十分な注意が必要です。
大腸がんを引き起こす原因
大腸がんの発症には、運動不足、食物繊維の少ない食事(野菜や果物の摂取不足)、肥満、飲酒習慣といった生活習慣が関係していると言われています。
この20年ほどで、日本における大腸がんによる死亡数は約1.5倍に増加しました。
欧米型の食生活(高脂肪・低繊維)が広がったことが一因とされており、生活習慣の見直しが重要です。
また、家族に大腸がんの既往がある場合は、遺伝的なリスクも加わるため、さらに注意が必要です。
大腸がんは「治療しやすいがん」の1つ
大腸がんは死亡数が多い一方で、早期に発見できれば治療効果が高いがんでもあります。
がんと診断された後、5年間生存している人の割合を示す「5年生存率」は、早期の大腸がんでは約90%に達すると報告されています。つまり、適切なタイミングで治療を開始すれば、予後は非常に良好です。
40歳を過ぎたら定期的に大腸がん検診を受けましょう
大腸がんの罹患率は、40歳を超えると急激に増加するとされており、特に中高年層では定期的な検診が推奨されています。自治体や職場では、対策型検診として40歳以上の方を対象に、年1回の大腸がん検診を実施しています。
自身の健康を守るためにも、積極的に活用していきましょう。
便潜血で陽性反応が出た場合は大腸カメラ検査を受けましょう
便潜血検査で陽性となった場合は、必ず精密検査(二次検査)として大腸カメラ検査を受ける必要があります。
この検査では、大腸の粘膜を直接観察できるだけでなく、異常が疑われる部位の組織を採取して詳しく調べることも可能です。また、検査中にポリープが見つかった場合には、その場で切除することができ、日帰り手術としての予防的処置にもなります。
つまり、大腸カメラ検査は、がんの早期発見だけでなく、がんの予防にも繋がる非常に重要な検査と言えます。



