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切れ痔(裂肛)

切れ痔(裂肛)について

切れ痔は、肛門の出口付近にある皮膚が傷つき、裂けてしまった状態を指し、医学的な正式名称は「裂肛(れっこう)」です。
主に便秘や下痢が原因で、硬い便や水様便が肛門を通過する際に皮膚に負担がかかり、損傷が生じます。

切れ痔(裂肛)を引き起こす原因

裂肛の原因にはいくつかの要因があり、以下が代表的です。

便秘

腸内に長く留まった便は水分が失われて硬くなり、排出時に肛門の皮膚を強く引き伸ばすため、裂けやすくなります。ストレスや職場環境などで、便が固くなり発症することも多いです。

下痢

繰り返し水っぽい便が出ると、肛門が頻繁に刺激を受け、炎症や皮膚の損傷を招きやすくなります。

出産

出産時の強い腹圧により肛門に過剰な負担がかかり、皮膚が裂けてしまうことがあります。

便秘による切れ痔の発症メカニズム

腸内に長時間留まった便は水分が吸収されて硬くなり、それが排出時に肛門を圧迫して皮膚を傷つける要因となります。

下痢による切れ痔の発症メカニズム

頻繁な排便により肛門の皮膚が繰り返し刺激を受け、炎症が起きやすくなります。また、周辺の皮膚も弱り、より裂けやすくなることがあります。

その他の原因

肛門周囲の血行不良

血流が悪くなると皮膚が乾燥しやすくなり、損傷を受けやすい状態になります。

トイレットペーパーによる刺激

硬めのトイレットペーパーを使用すると、皮膚が摩擦で傷つく恐れがあります。

長時間の座位

座り続ける時間が長くなると肛門周囲の血流が低下し、裂肛の悪化に繋がる場合があります。

切れ痔の悪化要因

排便を我慢する

痛みを避けようとして排便を控えると、便秘が進行し、症状が慢性化しやすくなります。

硬い便を無理に出す

硬い便の排出は肛門への負担をさらに大きくし、出血や激しい痛みを引き起こす原因となります。

刺激物の摂取

香辛料やアルコールなどの刺激が強い食品は、肛門の炎症を助長し、症状を悪化させる可能性があります。

切れ痔(裂肛)の主な症状

切れ痔(裂肛)とは、肛門の出口付近の皮膚が裂けてしまう状態であり、以下のような症状が現れます。

排便時の激しい痛み

代表的な症状で、排便時に鋭い痛みを伴うのが特徴です。症状が強い場合には、排便後も数時間にわたり痛みが続くこともあります。

出血

排便の際に少量の出血が見られることがあります。多くはトイレットペーパーに血が付く程度です。

かゆみ

傷口に炎症が発生することで、肛門周りにかゆみを感じるケースもあります。

痛みの種類と特徴

切れ痔による痛みは、個人差があり、次のように感じ方が異なることがあります。

  • ズキズキとした痛み:傷口が刺激を受けた際に感じる鋭い痛みです。
  • ジンジンとした痛み:肛門の筋肉が痙攣を起こすことで生じる、持続的で鈍い痛みです。

このように、痛みは排便時に限らず、その後も長く続くことがあります。

出血の特徴

切れ痔による出血はほとんどの場合、鮮やかな赤色(鮮血)で、量はわずかです。トイレットペーパーに付着する程度が一般的ですが、症状が強い場合は便器の水が赤く染まることもあります。

慢性裂肛について

慢性裂肛とは、肛門の出口付近にできた傷が繰り返し裂けて治りにくくなった状態です。急性の裂肛が短期間で自然に回復するのに対し、慢性裂肛では症状が長期化し、傷が深くなったり、周囲に炎症を伴ったりすることがあります。慢性裂肛となると肛門の粘膜が固くなり、徐々に肛門の穴が狭くなってしまいより切れ痔(裂肛)ができやすくなります。

慢性裂肛の主な症状

排便時の強い痛み

痛みの程度は急性裂肛よりも強く、排便後も痛みが長時間続くことがあります。

出血

排便時に少量の鮮血が見られることがあります。

かゆみ

炎症を起こした傷口により、肛門周りにかゆみを感じることがあります。

肛門周囲の腫れ

傷の周囲が腫れて、押すと痛みを感じる場合があります。

排便困難

痛みや傷の進行によって、肛門が狭くなり排便がしにくくなることがあります。

肛門狭窄

繰り返される傷と治癒の過程で瘢痕組織が形成され、肛門の出口が狭くなることがあります。これにより排便が困難になるケースもあります。

切れ痔(裂肛)の治療方法

切れ痔(裂肛)の治療は、症状の重さや原因に応じて異なりますが、大きく分けて保存的治療(手術を行わない治療)と手術療法があります。多くの場合、下剤、緩下剤、整腸剤による便通管理と、軟膏坐薬による局所薬物療法での保存的治療が基本となります。

保存的治療

薬物療法

軟膏・坐薬

痛みや炎症を抑える成分を含む軟膏や坐剤を使用することで、傷の治癒を促進します。

便秘薬

便を適度に柔らかくすることで排便時の負担を軽減し、肛門の裂傷を防ぎます。

生活習慣の見直し

食事内容の改善

食物繊維を意識的に取り入れ、水分をしっかり摂ることで便秘を防ぎます。

規則的な生活リズム

睡眠不足やストレスは便通に影響するため、生活のリズムを整えることが大切です。

運動の習慣化

適度な運動は腸の働きを活発にし、便秘の予防に繋がります。

外科手術(手術療法が必要な場合は原則紹介となります。薬物療法を主に行っております。)

保存的治療で効果が見られない場合や、慢性裂肛により狭窄などの症状が重い場合には、外科的処置が行われることがあります。
繰り返した切れ痔により慢性裂肛となり、肛門周辺の皮膚が線維化し、瘢痕(はんこん)化して皮膚部分が狭まって便を出しにくくします。線維化、瘢痕化を起こした皮膚には伸展性がないため、手術によって肛門を拡張・切開する必要があります。

  • 用手肛門拡張術
  • 裂肛切除術
  • 肛門ポリープ切除